YouTubeの文字起こしです。
サーフィンは絶対に上手くなったほうがいい、そのお話をしてみたいと思います。
よく「海が気持ちいいので浮かんでるだけで十分です」とか「サーフィンは海の中で浮かんでいるだけでも気持ちいいのでやめられません」というお話を聞きますが、私は声を大にして言いたいのです。サーフィンは絶対に上手くなってほしいのです。
上手い方とビギナーの方では楽しみ方が全然違います。確かに、海に浮かんでいる気持ちよさはどちらも同じですが、上手い方のほうがものすごく深く楽しみを味わえているのです。
例えば、波一つを見ても、ビギナーの方から見たらうねりはただのうねりという一つのシグナルだけにとどまっています。しかし、上級者が見ているうねりは違います。やってくる方向、強さ、セットなのか否か、地形がこうなっているからこう割れる、だから最初のマニューバーはこれを選択しなければならない、今いる場所からこちらへ移動してあの波をこのように取り、その途端にこういうアクションをかけなければいけない—というように、一つの波ごとにたくさんのことを考えてアプローチしています。
それはものすごく深い楽しみ方です。ただうねりという一つのシグナルだけでなく、より深い情報を読み解いて、それに合わせてサーフィンすることが本当の楽しみなのです。
時間の使い方を消費と浪費に分けるとすれば、ただ浮かんでいるだけなら時間の消費です。例えば、仕事が終わって惰性のまま先輩と食事に行き、お酒を飲んで愚痴や悪口、噂話をする。その場は何となく楽しく暇なく過ごせても、振り返ってみると何となく退屈—それは時間を消費しているからです。
一方、サーフィンには贅沢な時間の浪費が含まれています。波の取り方一つとっても、それは贅沢な時間の使い方です。夜に惰性で飲みに行くのをやめて、早く寝て次の朝に海へ行き、波を見る訓練を積んだ上級者が見ている景色、探求していること、研究していることは深く、それは時間を贅沢に浪費していると言えるでしょう。
具体例を挙げましょう。盲導犬を考えてみてください。普通の犬は人間の背の高さの障害物を気にせず下を歩きますが、盲導犬は人間の高さにある障害物を避けます。訓練によって、見える世界が広がっているのです。サーフィンも同じです。訓練すれば、より大きな世界が見えてきます。
古典や音楽と同じです。ギリシャ語を知らなければ古典を楽しめないように、音楽も学び訓練しなければその良さは分かりません。だからこそ、上手くなることはとても大切なのです。時間を単に消費せず、贅沢に浪費し、より深く楽しむために、上達は必須なのです。
確かに、上達しないという考え方も認めなければなりませんが、それでも私は強く主張したい—上達すればサーフィンはもっと深くなり、楽しみ方がより豊かになり、贅沢な時間として過ごせるようになります。
ですから、サーフィンの上達を避けることなく、どんどん上手くなっていこうという気持ちを持ってサーフィンしてみてはいかがでしょうか。
