「テイクオフの早いサーフボードをください」
賢明な皆様ならばこの質問はおかしいなと思うかもしれません。サーフボードを買う時にはこのような質問はしません。あとは「どのモデルが一番テイクオフが早いですか?」など、こちらもちゃんちゃらな質問でございます。そして、このボードテイクオフ早いよ。なんていうサーフボード販売員は信用できません。売りたい売りたいが強すぎます。心の中では、そう言えば買ってくれるだろうと思っているかもしれません。
少しシリアスな出だしになってしまいましたが、今日のお題は、「テイクオフの早いサーフボード」です。皆様がこれを求めているのは100% agreeで私もそうです。私も実際に調子が良いサーフボードの最低条件はテイクオフが早いこと、遅い時点でもう乗りませんってタイプです。ですので、テイクオフの早いボードが欲しいは半分間違っていますが半分あってます。ここ間違ったほうで捉えるとサーフボード選びは失敗します。
初級編:長さや浮力でテイクオフの早さは決まる?
○です!それはそうです。まずはここからです。サーフボードの長さ、幅、厚み、リッター数をまずは見てみましょう。長さがあって幅があって厚みがあると勝手にリッター数は増えますが、こういうボードはテイクオフが早いのは大前提です。ロングボードとショートボードみたいな見方が分かりやすいかもしれません。ロングボードはスイスイ乗ります。ソフトボードも超浮力でテイクオフが早いです。長ければテイクオフは早いし、浮力もあればあるほど早いし。と最初は大雑把な捉え方で構いません。
そのあとに、シェイプデザインも関係していそうです。ロッカーやアウトラインなどなどサーフボードの形によってもテイクオフの早さは変わります。丸い方が早いような気がしますとか、ロッカーが無い方が早いです、などです。
中級編:早いって誰にとって?
続いては中級編です。テイクオフが早いって誰にとって?です。同じ年齢、同じ体型、同じサーフィン歴、同じサーフィンレベル、同じサーフィン頻度のAとBが同じ波で同じサーフボードに乗って。Aは「このボードはテイクオフが早い」と言い、Bは「このボードはテイクオフが遅い」と言います。何も不思議なことではありません。普通のことです。これはテイクオフというのは、”この人にとって”が付くためです。Aは普段このテストボードより小さなボードに乗っているかもしれません。そしてBは普段大きなボードに乗っているのです。Aがこのボードテイクオフめちゃくちゃ早いんだよね〜。と言っているのを聞いてもBは同じボードを買わない方が良さそうです。全て同条件にしましたが普通は個々のサーファーによって環境が全然違うので、他人のテイクオフ早いは、自分に当てはまらないことが多いと考えましょう。
よって、このボードのテイクオフ早い!嬉しい!と感じるボードは、体型とかそういうのではなく、その人がこれまで乗ってきたボードによって変わると考えてください。テイクオフの癖とかもありますしね。その人にとっては早いと感じるということがよくあります。
上級編:テイクオフの早いの意味が違う
テイクオフの早いの意味??テイクオフの意味はたくさんありそうです。長細いボードと短い太いボードの2本を手にとってみましょう。同じ浮力に設定します。例えば、A 6’1″ 19″ 2 3/8″ 30LとB 5’6″ 20 1/4″ 2 3/8″ 30L とかどうでしょう。同じ30Lにしました。どちらがテイクオフ早いですか?モデル説明読むとだいたいAのようなボードはパフォーマンスボードと書いてます。Bのようなボードはテイクオフが早い、週末サーファー向けとか、小波用とか書かれていることが多いです。この説明を読むとテイクオフが早いのはBです。間違ってないけど間違っているような気がするという方はピントが合っています。どちらが早いのかな〜。難しいです。
Aのような長さのあるサーフボードは滑り出しが早いです。押されやすいというのかな、波を捕まえやすいです。うねりのうちから走り出してもうテイクオフが終わっているという印象です。Bのような短くて丸くて幅がありロッカーも弱いというボードは走り出しは遅いのですが、実は漕いでいても置いていかれないという特徴があります。Bは漕いで漕いでまだ諦めないで!さらに漕いでいるとブレイクの寸前に走り出します。そこでひっかけて乗れます。Aは漕いでダメならそこでダメですからBの方が乗れるとも言えます。この違いは、実は表現の違いです。テイクオフが早いの意味が違います。Aを早いとするかBを早いとするか。
上級編:サーフボードの不思議
あとはさらに上級編ですが、コピーボードを作ってもテイクオフは同じ早さにならない、というサーフボードの不思議があります。ものすごくテイクオフが早くて調子の良いサーフボードが手に入りました。それが傷んできたのでまた同じボードが欲しいとします。全く同じボードをくださいとシェイパーにお願いしてオーダーしても同じボードは仕上がってきません。データは同じ、材料が同じでも、全く同じ乗り心地のボードは上がってこないのです。プロサーファーもマジックボードは思い出すくらいしかないそうなので。同じボードを作るというのは難しいのですね。上級者は、そういうものだとして毎回マジックボードを求めてサーフボードをオーダーします。今回は早かった、今回は遅かった、ということがあり得ます。それもサーフボードの楽しいところです。
まとめ
以上のことから、テイクオフの早いボードくださいというご相談は、希望は正しいですが相談内容としては間違っています。テイクオフの早いサーフボードは絶対欲しいのですが、上記の中級編と上級編を考慮してみてください。実際相談すればサーフボード販売員はもう少し踏み込んでくれますので。走り出しも出して追いかけても乗れる小波用ボードにするには?とか。これまでのサーフボード歴をよく聞いてくれますし。あなたにあったテイクオフの早さを導いてくれるかもしれません。
テイクオフが早いという謳い文句を吟味できるようになっていただき、サーフボード選びに役立ててもらえれば嬉しいです☆