サーフボードにはアウトラインがありフォルムがあります。ロッカーがありレール形状やテール形状などで作られています。これを物質的に見てサーフボードを語るにはいささか無理があるっていうのが向こう側コンセプトです。
いや確かにあります。ロッカーは何度、リッター数は何リットル。フィンについてはもっと分かりやすくて、深さとベースと角度と表面積といったように数値化されます。そこに存在するそれを我々を無しにしても存在させることができます。成立する事実です。
“何度のロッカーからおりなすターンは何度に跳ね返り、海水との反発の力をαとしボードと海水は何らかの法則によって着水するのである。ここに表面積がいくらのフィンをつけていただきたい。気をつけたいのはそのフィンのsweepで、この角度合わせないと切り裂いたときの水しぶきが甘くなる。ファクターエックスは紛れもなくフィンのsweepである。故にこのモデルはテイクオフが早くて動きも機敏である。”
なんのこっちゃと思いますが、実際同じようにサーフボードを見ている人は多いです。
サーフボードはそもそも存在しないのです。存在するのは能の中にあるあなたのサーフボードです。
あの時乗った1本は映画のワンシーンのように切り取られます。静寂でしたか?テーマ曲が流れましたか?戦場のメリークリスマスが流れた人とロッキーのテーマが流れた人。これまでの経験とサーフィンとの付き合いとその時のあなたの心の状態は周りからは見えませんが、その1本には確実に存在しています。きっとサーフボードのロッカーの強さより大きくあなたのライディングに影響を与えているはずです。
サーフボードを目の前にして見えている事実は実際のライディングとは関係ありません。
「テイクオフが早い」とは誰にとってですか?何と比べてですか?テイクオフが早いというのは主観的であり相対的。このサーフボードはロッカーがこうだからテイクオフが早いんだよね、と言ってしまっていませんか?
そのサーフボードを見ている私とあなた。サーフボードそのものは変わらないですがきっと全く違うもののはずです。
もっとサーフボードにドラマを見よう。アーティストが出した答えと自分が乗ったときに広がる映画のようなワンシーンと。サーフィンは数値や法則ではなく、もっとアートな活動です。向こう側を見に行く、向こう側を許容することから。枠を取り払ってサーフィンしてみよう。